オーガナイズドセッション

Organized session

オーガナイズド・セッション

セッション番号 セッション概要
OS1

セッション名:地震災害リスクコミュニケーションのモデル形成の現在:3 年間のとり組みをふりかえる(The Current State of the Art in the Practice Model Building of Earthquake Disaster Risks and Resilience Communications: The Review of the Three Year Projects' Achievements)

オーガナイザー:⽷井川栄⼀(筑波⼤学),⽴⽊茂雄(同志社⼤学)

概要:地域安全学会では、2016年度より⽂科省「リスクコミュニケーションのモデル形成事業(学協会型)」の助成を受け、学会全体で安全・安⼼に資する双⽅向型サイエンスコミュニケーションの実践と⼈材の育成活動に取り組んだ。これまでの3年間で、東北・関東・東海・中部・関⻄・四国圏の22研究室と2研究センターに所属する25名の本学会員が、⾏政・住⺠・専⾨家といった多様なステークホルダーが参画した地区防災計画づくり等の⽀援活動を通じて、地域社会の災害リスク等の低減に資するリスクコミュニケーションのモデル形成を図った。本セッションでは、これまでの実践から形成された代表的なリスクコミュニケーション・モデルについて、会場全体で共有化するとともに、参加者との双⽅向型の対話を通じて、地震災害リスク軽減とレジリエンス向上に向けたリスクコミュニケーション実践モデルの普及の⽅向性と⽅策について創発的な議論を展開する。

OS2

セッション名:長周期地震動から断層近傍パルスまで:予測と対策に向けて(From long period ground motions to near fault pulses: prediction and provision)

オーガナイザー:松島信一(京都大学防災研究所),浅野公之(京都大学防災研究所),香川敬生(鳥取大学大学院工学研究科),永野正行(東京理科大学理工学部建築学科)

概要:平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震では震源から数百kmの場所で長時間長周期地震動が観測される一方、平成28年(2016年)熊本地震や2018年の台湾花蓮地震では断層近傍でやや長周期大速度パルスが観測された。いずれも、超高層建物、免震構造物、長スパン構造物などに被害を及ぼす可能性があることから、その特性を理解し、予測方法を確立し、対策を講じることは喫緊の課題である。長周期地震動は震源、伝播経路、地盤構造の影響を受けるため、これらの特性に関する知見の蓄積とそれぞれの寄与の評価が不可欠である。特に、震源近傍大速度パルスの生成において、地表地震断層近傍での震源破壊過程と地震発生層以浅の地盤構造の関係については未解明なことが多い。また、活断層情報と震源破壊過程の関係の知見を蓄積・共有する必要がある。本セッションでは、長周期地震動や断層近傍パルスの予測とその対策に向けた成果や提案について議論を展開する。

OS3

セッション名:SIP防災の研究開発と社会実装(Research activities for earthquake disaster mitigation made in SIP)

オーガナイザー:堀宗朗(東京大学地震研究所),藤原広行(防災科学技術研究所)

概要:大型研究開発プロジェクトである戦略的イノベーション創造プログラム(通称,SIP)では防災が課題の一つに挙げられ,地震・津波等を対象に,予測・予防・対応の三点から様々な研究開発がなされ,府省庁を中心に研究開発技術の社会実装が進められている.世界の標準となるような技術も開発されている.本セッションでは,SIP防災の研究開発と社会実装の状況を紹介する発表と,今後の国主導の防災研究の方向や在り方に関して意見交換を行う.

OS4

セッション名:設計想定と異なる作用に対する構造技術戦略(Structural engineering strategy for beyond design basis events)

オーガナイザー:高橋良和(京都大学工学研究科),本田利器(東京大学工学系研究科),五十子幸樹(東北大学災害科学国際研究所)

概要:構造物を設計するためには,具体的な作用を想定し,その作用に対して構造物が求められる性能を発揮できるように設計・照査される.しかしながら,東日本大震災以降,設計想定に対する安全性を確保することは当然として,設計想定と異なる作用に対する配慮が求められるようになってきた.本セッションでは,設計想定と異なる作用に対する構造技術について,耐震・免震・制震,新構造,地盤構造物など,幅広い提案がなされており,次世代の挑戦的な構造技術戦略に関する議論が展開されると期待される.議論の時間も設けております.ご関心のある方々のご参加をおまちしています.

OS5

セッション名:東北の被害地震を再考する(Reconsidering past damage earthquake in the Tohoku)

オーガナイザー:片岡俊一(弘前大学),中村 晋(日本大学工学部)

概要:今年2018年は1968年十勝沖地震から50年,1978年宮城県沖地震から40年の節目の年である.さらに,東北地方ではこれ以外の被害地震がこれまでに数多く発生している.被害地震の際には,数多くの報告書が発行され,地震直後には様々な検討がなされた.その成果は地震工学の進展に多いに寄与したが,古い地震に対しては,充分な観測データもなく,また解析技術も今に比べると貧弱であったことは否めない.逆に言えば,データの蓄積が進み,解析技術が進んだ現在において,過去の地震の地震動,被害を再考することは有意義であろう.特に,今回のシンポジウムは東北地方で起きた被害地震の節目の年に仙台市で開催される.そのような場で,このセッションを開催することは,研究意義だけでなく,住民の意識の向上にも有効と思われる.なお,セッション名は過去の被害地震としてあるが,対象とする地震については,特に制約を設けない.

OS6

セッション名:原子力発電所の地震安全に関する基本的な考え方(Basic Safety Principles on Earthquake Engineering for Nuclear Power Plants)

オーガナイザー:高田毅士(東京大学),成宮祥介(原子力安全推進協会)

概要:原子力発電所において地震に対する安全性を確保について合理的な枠組みを構築するには、地震安全に関わる広範な分野の連携の下、多様で深い議論が不可欠である。本セッションでは、日本地震工学会の研究委員会において分野横断的な取り組みとして検討を進めている原子力発電所の地震安全に関わる基本的考え方とそれに基づく安全確保の実践方法について紹介する。
日本地震工学会研究委員会「原子力発電所の地震安全の基本原則に関する研究委員会」では、「原子力発電所の地震安全の基本原則」取りまとめております。審議中ではありますが、現状での案について、広く関連する方々からの御意見を頂く目的で、その一部を資料として配布させて頂きます。
原子力発電所の地震安全の基本原則(案)

OS7

セッション名:平成28年熊本地震において火山灰質土やその堆積構造が地盤災害を激化させたのか?(Did volcanic ash soils and sedimentary structures induced geo-disasters in the 2016 Kumamoto earthquake?)

オーガナイザー:村上哲(福岡大学),笠間清伸(九州大学大学院),石川敬祐(東京電機大学)

概要:平成28年熊本地震では、2016年4月14日21時26分熊本地方を震源とするM6.5の前震と同年4月16日01時25分同地方を震源とするM7.3の本震、および、その後の複数回の余震が発生し、甚大なる被害が生じた。地盤に関わる被害としては、道路、橋梁、河川堤防など社会インフラの被害、液状化や滑動による宅地地盤被害、阿蘇谷における陥没沈下など多様であった。地震から2年が経過し被災地の復旧・復興が進行している状況にある。一方、個々の地盤災害は、液状化、斜面安定、沈下変形など個別のメカニズムに基づくものであるものの、熊本の地盤は火山活動に起因した地形、地質、土質が共通的特徴であり、より確実な復旧・復興を達成するためには、火山由来の土質が地震時および地震後の地盤の変形や安定に与える影響を踏まえて実施することが肝要である。本セッションでは、火山活動に起因した地盤の地震時および地震後の変状メカニズムと対策について、熊本地震を対象とし、最新の調査研究成果を集約するとともに、今後解決すべき課題について討議を行う。