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日本地震工学会 > 2001年 第1回通常総会 議事録

A. 日時:

平成13年5月21日(月) 14時00分〜16時10分

B. 場所:

建築会館ホール

C. 提出資料:

第1回通常総会議案書

D. 出席者(50音順 敬称略)

(34名、他に委任状出席723名)

青山博之、家村浩和、泉博允、磯山龍二、上島照幸、大塚功一、大町達夫、岡田恒男、岡野創、小谷俊介、金井清、川島一彦、河村壮一、北川良和、北後寿、北嶋圭二、北中克巳、工藤一嘉、倉西茂、後藤洋三、下田郁夫、末冨岩雄、鈴木浩平、鈴木計夫、田村重四郎、土岐憲三、中原光春、西川孝夫、伯野元彦、濱田政則、松田宏、松本正毅、村上處直、安田進

E. 議事

1. 開会:定足数の確認

定時に、総務担当の大町理事が総会の定足数について、規約24条により現在の正会員数の1,282名に対し3分の1以上の出席が必要であるが、本日の出席者数が委任状を含めて757名なので総会は成立することを報告し、平成13年度通常総会の開会を宣した。

2. 議長指名

大町理事が、規約第21条により通常総会は会長が招集すること、同第16条により会長が総会の議長をつとめることを説明し、本総会の議長を青山会長にお願いした。

3. 会長挨拶

青山会長が、議案の審議に先立ち、挨拶を行った。その概要は以下のとおりである。

(概要)
日本地震工学会会長となり、ジャーナリズムを初め良く質問されることが、1) なぜ今、日本地震工学会を発足したのか?2)今後どのような活動を行っていくのか?の2つであった。1)については、むしろ今まで日本の地震工学を束ねた会がなかったのが不思議であり、今回あるべき姿となった。多くの専門分野を横断的にまとめる横糸と言える。2)については、人文科学も含む幅広い活動を目指すが、まだ発足間もないこともあり、今後、会員の意見を聞きながら具体化していくことになろう。と回答してきた。組織としても、まだ課題を多く抱えており、今後、まず会員の増強、財政基盤の確立、学会の国際的地位など皆様にご協力願うことになろう。国際的地位については、JAEEの設立を各国に周知するとともに、今まで(財)震災予防協会が担ってきたIAEEの国内組織としての活動を今後本会が行うべく、両組織の合意を得て決定し、近く正式手続きの申請を行う。日本の地震工学に関する組織は、最初日本地震工学振興会が活動を開始したが、これは主に民間寄付によりトレセンへの援助やニュースの発行を行っていた。1988年の世界地震工学会議(9WCEE)の際、日本の事務局を震災予防協会にお願いすることになり、震災予防協会の中に地震工学振興会部会を作って、地震工学関連の活動を行うようになった。今回、日本地震工学会が発足し、IAEEの国内組織にもなることは、我々地震工学者にとっては本来のあるべき姿に戻ったと考えられるが、これを大乗的見地から認められた震災予防協会の特に地震・火山の研究者に対し、感謝と敬意を払う必要がある。

その後、青山議長が議事を進行した。

4. 議案の審議

(1号議案:平成12年度事業報告)

平成12年度事業報告を、総務担当の後藤理事が議案書に沿って説明した。設立以来、事務局体制の整備、各委員会の立ち上げ、理事会の開催とその討議内容などを報告した。その後、議長が本件に関する質問がないことを確認した上で、出席者に承認を諮り、承認された。

(2号議案:平成12年度収支決算報告)

平成12年度収支決算報告を、財務担当の濱田理事が説明した。平成12年度は2001年1月1日より、同年3月31日までであり、その間923名の会費入金があり、そのうちの入会金を平成12年度収入とし、預かり金を含め、一般事業収入とし、支出は、事務委託費、人件費、通信費、会議費等に支払われた旨、報告した。

続いて、議長が収支決算報告への意見を求め、質問のないことを確認して、承認を出席者に諮り、承認された。

(3号議案:平成12年度監査報告)

平成12年度監査報告を、伯野監事が行った。本年5月17日に北川監事とともに、監査を実施し、適切に会計処理されていることを確認した旨を報告した。

続いて、議長が監査報告に関する意見が無いことを確認して、承認を出席者に諮り、承認された。

(4号議案:平成13年度次期会長・副会長・監事選挙結果報告)

平成13年度次期会長選挙結果報告を選挙管理委員会芳村委員長に代わり河村理事が行った。規約第15条により次期会長は選挙によって選び、総会で選任することと定められていることを説明の後、選挙結果として、来期の次期会長の当選人が土岐憲三氏となった旨報告した。続いて、議長が選挙結果報告に基づき、土岐憲三氏を平成13年度の次期会長として選任することを出席者に諮り、承認された。

(5号議案:平成13年度役員選任)

平成13年度役員の選任について、議長がこれに関しては本会規約の付則にしたがい、平成12年12月20日に開催された設立総会で既に選任したことを報告した。ところが、総務担当理事である後藤理事が本年4月1日をもって、九州の西日本工業大学教授へ移られ、職務を十分果たせないので理事を退任したいとの申し出があった。そこで、後任として、鹿島建設小堀研究室から中原光春氏をご紹介いただいたことを報告した。

規約第15条により、理事は正会員の中から会長が選び、総会で選任すると定められており、岡田新会長から後藤理事の退任と、中原光春氏を新理事とする提案をいただいたので、本総会で承認いただきたい旨、出席者に諮り、承認された。

議長より、本学会の発足準備会の段階はもとより、学会発足後は総務理事として、事務局の運営にご尽力いただいた後藤理事に感謝の言葉が述べられた。また、中原光春氏より後任の理事として力を尽したい旨の挨拶があった。

(6号議案:平成13年度役員候補推薦委員会委員の選任)

平成13年度役員候補推薦委員会委員の選任を、同委員長の家村理事が報告した。選挙規則では、毎年役員候補推薦委員会委員の半数が交代して、新しい委員は役員候補推薦委員会が選出し、総会で選任すると定められていることを説明した。同委員会による推薦名簿の7名について、議長が役員選挙推薦委員会委員に選任する件を出席者に承認を諮り、承認された。

(7号議案:平成13年度選挙管理委員会委員の選任)

平成13年度選挙管理委員会委員の選任を岡田新会長が報告した。選挙規則により、選挙管理委員会委員のうち理事の川島一彦氏と塩原等氏については会長指名を行ったこと、役員以外の委員2名については会長が正会員の中から指名し、かつ総会の承認を得ることと、定められていることを説明した。岡田新会長は、正会員の中から泉博允氏と座間信作氏を選挙管理委員会委員に指名したことが報告され、議長がこの件について出席者に承認を諮り、承認された。

(新会長挨拶)

議長は、ここで、岡田新会長の挨拶を要請し、岡田新会長が挨拶をされた。その概要は以下のとおりである。

本会は青山会長のご尽力で、非常に体制が整備されてきた。しかしながら、青山会長の挨拶にもあったとおり、まだ発足間もなく、やっと軌道が見えてきたという段階であると理解している。ロケットでいうとまだ地球を一周していないわけで、これからの1年間は本格軌道にのせる1年だと考えている。同時に宇宙ステーションの建設の計画を行うという段階だと考えるので、理事、会員と議論を始めたいと思う。議論の前提として、日本地震工学会は、地震工学の先端研究・技術の振興、融合、普及の場として捉えたい。

先端研究・技術の振興では、狭義の先端技術のみならず、現場の最先端で直面する技術も含めたい。融合では土木、建築、地震、地盤、機械各分野の融合のみならず、研究と現場の融合も含めたい。普及は研究から現場への普及だけでなく、現場から研究への普及も含めたい。このような構想を持って、青山会長に続いて2代目の会長を務めたい。

(8号議案:平成13年度事業計画)

議長は平成13年度事業計画については、各担当理事が説明後一括して、ご審議いただきたい旨提案し、了承された。

(1) 会員幹事会の説明を、河村理事が行い、個人会員の増強とともに平成13年度は法人会員の勧誘を行うことを報告した。

(2) 広報委員会の説明を、委員長の工藤理事が行い、ホームページの管理と充実、JAEEニュースの引き続きの発行を行うことを報告した。

(3) 会誌編集委員会の説明を、委員長の西谷理事に代わって工藤理事が行い、年4回のNewsletterの発行を行うことと会誌名称を検討することを報告した。

(4) 論文集編集委員会の説明を、委員長の久保理事に代わって川島理事が行い、年4回の論文集の発行を行うこと、刊行形式、投稿規約等につき提案を行った。

(5) 事業・企画委員会の説明を、委員長の安田理事が行い、地震被害報告会(エルサルバドル地震・インド西部地震講演会)や市民講座、特別講演会を行うことを報告した。

(6) 年次大会実行委員会の説明を、委員長の家村理事が行い、11月28日より30日まで、日本学術会議で開催することを報告し、積極的な会員参加を要請した。

(7) 国際関係についての説明を、担当の中島理事に代わって小谷副会長が行い、英語版ホームページの充実、海外からの入会、論文投稿を容易にするよう準備すること、大地震勃発時の情報発信のための準備に取り組むことを報告した。

議長が上記7項目に対する質疑、質問、意見を求めた。出席者から、本議案に対してのみならず、意見が活発にだされた。以下に、意見の項目を記載する。

(会場質疑、意見)

1)本学会は多分野の研究者が集まった学会であるので、共通の言葉、用語の統一が重要と考えるが、そのような活動は考えているか?(倉西氏)

  • コンクリート工学会では、土木と建築で用語に違いがあり、その統一は重要なテーマであったが、各々長い歴史があって統一は困難であった。
  • 地震工学では、さほど大きな違いがあるとの印象はない。(青山会長)
  • 現状認識は会長と同じだが、たしかに用語の使い方が若干異なる。
  • 準備の一貫として考えたい。 (岡田次期会長)
  • これまで、他の活動では、「地震防災の辞典」を作ったが、専門家内ではそれほど、違和感は無かった。一般の方への解説の準備もしているが、先生の貴重な意見を念頭においておきたい。(土岐副会長)

2)マスコミの地震報道で、インドやイランなどで日干しれんが建物の被害が大きいことを見聞きし、大変残念に日頃感じている。 本学会で、それら被害の低減に貢献できるプロジェクトを立ち上げる考えはないか?(倉西氏)

  • 倉西先生のご意見に同感である。 日本の耐震性向上の方法は費用がかかる。 留学生が自国の経済状況を前提に簡易廉価な構造方式を研究していたりする。布などを使う方法もある。 本会で、廉価な構造をまとめて発信していただきたいと考える。 また、都市地域だけでなく、全国の地盤卓越周期地図などを検討いただくと有りがたい。(鈴木氏)
  • 国と国の格差、国内での格差は当然存在しており、JAEEニュースにもその問題に触れている。難しい面もあることも事実であるが今後の検討課題としたい。(岡田次期会長)
  • 復興の観点から、海外(中国、グアテマラ、サンフランシスコ)の地震後の立ち直りの考え方に日本と重要な違いがあると思う。被害を受けたら、経済の立ち直りと耐震性の向上との問題になる。 まず、経済的に立ち直り、その後丈夫に補強するという手順を実施したところもある。 国により状況も異なり、日干しレンガはつぶれるけれど、顔さえでていれば、人間が手で運べる重さであるので、すぐに助けられるという構造でもある。阪神地域でもまだまだ復興していないと思うし、国際貢献もいろんな問題があり、どういうふうに援助するかは難しい議論である。(村上氏)

3)発足間もない本会であるが、次の9号議案の収支予算をみても、資金的な面がどれほど向上するのか?大会での勧誘活動などがあってもよいと思う。(田村氏)

  • 理事会でも機会あるごとに会員増強を考えている。行事が始まらないとなかなか拡充は大変だと思う。会員が増え、行事活動が活発化する相乗作用で発展していければと考えている。(青山会長)
  • 学会大会にどれほどの人が参加してくれるか、特に第1回なので予想できない面もある。 先端技術が融合される仕組みをどうするか、魅力的なものにするにはどうするかなどを討議していきたい。(家村理事)
  • 個人会員の増強は行ってきたが、今後は法人会員の勧誘もあるので、会員のお知恵をお借りしたいと思う。 今後とも会員の皆様のご協力をお願いいたします。(松本理事)

その後、議長は質問が無くなったことを確認して、平成13年度事業計画を出席者に承認を諮り、承認された。

(9号議案:平成13年度収支予算案)

平成13年度収支予算を濱田理事が説明した。一般事業は活動項目毎に余裕を持った予算とし、特別事業等は、独立採算の形で予算を組んだことならびに借入金の返済を今期に一部実施することを報告した。続いて、議長が平成13年度予算について出席者に承認を諮り、承認された。

(その他)

議長が、その他として会場の出席者に自由意見を求めた。意見応答は以下のとおりである。

1) 総会の直接参加人数が少ない。 もっと集まれるように来年以降考えて欲しい。(磯山氏)

  • 理事会でも総会を魅力的なものにしようと議論があった。他の学会では講演会と組み合わせたりしている。来年以降、新会長のもとで、検討していかれると思う。(青山会長)
  • 本会ではまだできないが、授賞式を組み込む学会もある。(岡田次期会長)
  • 懇親会も考えられる。(鈴木氏)

2) 電脳学会として、ホームページやJAEEニュースの発信を行ってきた。平成13年度もこの方向でやっていくつもりであるが、このような電脳機能を利用することについてのご意見があれば、是非理事会あるいは事務局にお知しらせいただきたい。(小谷副会長)

(閉会)

議長が、本日の議事を終了したことを宣言し、かつ会長として任期を終わるにあたり、会員にいろいろご協力いただいたとして謝意を表明した。 最後に大町理事が閉会を宣言した。

以 上

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