ホーム日本地震工学会会長あいさつ

会長あいさつ

日本地震工学会 清野純史会長(就任:2021年5月25日)の挨拶

第9回の社員総会におきまして、中埜良昭前会長の後を引き継いで日本地震工学会会長に選出されました。これからの2年間、会員の皆様と共に日本地震工学会の発展に貢献すべく、精一杯努力する所存でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
会長就任にあたり、この場をお借りして一言ご挨拶申し上げます。
2001年に設立された日本地震工学会は、今年20周年を迎えました。20年前に、地震工学という分野の学際性を一早く認識し、それまでの土木・建築・地盤・地震・機械などを中心とする縦割りの学会に対して、このような分野横断的な学会を創設した方々の先見性に改めて感服いたします。また、その後の学会員や関係者各位の様々なご努力や活動、ご支援に支えられ発展してきた本学会が、世界の地震工学を牽引する学会であり続けるためには、たゆまぬ努力を続けていかなければと、私自身も身を引き締めながら本学会の運営に関わっていきたいと思います。

第17代会長 清野純史

これまで、学会論文集の編集と発刊、学会誌の定期発刊と内容の充実、調査研究活動の推進と社会への還元、年次大会および各種シンポジウムの円滑運営、地震災害情報の迅速な収集と対応などは、学会事業の円滑な運営と適切な予算管理の下で継続して行われてきました。このような活動の継続性が望まれる中、日本地震工学会へ期待することとして、昨年の学会誌で特集が組まれた「若手研究者・技術者から見た地震工学(No.41, 2020.10)」では、分野横断的な学会の強みを生かした学際交流の推進、および地震関連研究や業務を深く議論できる場や、知識の吸収や意見交換が気軽にできる、講習会とはまた違った場の提供等の要望が寄せられていました。後にも述べるように、多分野にわたる国内外の著名な研究者・実務者の講義を肩肘張らずに聴講したり、関連する研究者・実務者が世代を超えて忌憚なく討論できるようなオンラインでの研究会等は、その要望に応えることが可能な一つの手段になるかもしれません。

立候補時の抱負にも述べましたが、学会の長期的なビジョンの醸成に加え、これまでの学会活動をまずは盤石なものとすると同時に、特に、研究委員会数の増大、地方開催も含めた年次大会の活性化、学生会員の増員と正会員への円滑な移行に注力するとともに、地震災害調査経験の豊富な会員と若手中堅会員が一体となった被害調査派遣の仕組みづくりや、途上国への地震工学の技術支援・教育支援への道筋の構築なども必要ではないかと考えております。

歴代会長のご尽力で2020年度に3回目の日本開催となるはずであった17WCEEは、新型コロナウィルスの感染拡大の影響で本年に延期となりました。その終息が見えない現状では、これまでの顔を合わせて議論を行う会議形式とは異なる形式をとらざるを得ません。海外からの参加者にとっては、東日本大震災で甚大な被害を受け、依然として復興の途上にある被災地の現状を視察できるといった、これまでにない機会を得ることができず、また国内参加者も含め、現地の風土や環境、文化に触れながらの直接の意見交換ができないというデメリットもあります。しかし、逆に時間や人数の制約を超え、必要とあらばオンラインでいつでも研究に関するディスカッションができるという、これまでとは違ったメリットを持つ会議に移行しつつあります。ただ、このような環境下においても、日本地震工学会は主幹学会として、引き続き顔の見える関係を築けるオンサイトでの良さをアピールするとともに、最先端を行く日本の地震工学の研究や技術、関連する様々な取り組みをあらゆる手段を使って積極的に世界に情報発信していきたいと思っております。

1995年の兵庫県南部地震以降、気象庁が地震の規模や被害の程度などの基準によりその名称を定めた地震現象は10を数えます。その中でも、地震の大きさや被害規模からも特筆すべき2011年の東北地方太平洋沖地震から10年目、また熊本地震からは5年目を迎え、今後は首都直下地震や南海トラフの大地震の発生、さらには極端気象としての風水害、およびコロナ感染症に代表されるような感染症などとの複合災害にも対峙していかなければなりません。

このような節目の年からの2年間、皆様と共にこれまでの日本地震工学会の伝統を守りつつ、また地震工学会に向けられた会員各位の期待に応えるべく、新たな気持ちで学会の発展に尽力して参りたいと思います。引き続き、ご支援ご協力の程、どうぞよろしくお願い申し上げます。

過去の会長挨拶はこちら

このページの上部へ