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会長あいさつ

日本地震工学会 中埜良昭会長(就任:2019年5月24日)の挨拶

令和元年5月24日開催の第7回社員総会において福和伸夫前会長を引き継ぎ
日本地震工学会会長に選出されました。会長就任にあたりひと言ご挨拶申し上げます。
 いうまでもなく平成の三十余年は地震工学に携わる者だけでなく、一般の日本国民に
とっても記憶に強く残る大きな災害が数多く発生した時期でありました。都市や科学・技術が発展し災害が複雑化・複合化する一方で少子高齢化が現実問題として顕在化し、
災害への対応がより難しさを増してきたことを実感させた時期でもあります。
 地震防災対策には様々な視点からの議論と取り組みが必要であり、地震工学に関連する各分野が横断的に連携することの重要性は論を俟ちません。南海トラフの巨大地震や首都直下地震などの国難に直結する地震の発生が危惧される中、既存のディシプリンの深化に加え、急速かつ著しい進化と発展を見せる周辺技術を活用しつつ、さし迫った課題に対して、単なる研究成果の発信にとどまらず研究と実社会のギャップを乗り越えるまで研究成果を昇華し、実社会への実装までをターゲットとした取り組みが求められます。
分野横断と連携を旨とする本会はこれに応えるべき、そして応えられる組織であり、
これまで以上に社会との連携、出口戦略を意識した研究や活動に注力したいと考えます。

 日本地震工学会は2001年1月の創立以降、間もなく20年を迎えようとしています。人で言えば
そろそろ大人の仲間入りです。上記のような国内の差し迫った脅威に加え、これからの成熟社会
を見据えた地震防災に対する長期ビジョンとそのために比較的短期間で取り組むべき課題を、
次世代を担う研究者・技術者・行政担当者らとともに本会としても本格的に議論すべき時期に
防災技術として展開するためにはもちろんのこと、また本会会員、特に次世代を担う若手会員に
とって本会が魅力的であるためにも、極めて重要であると感じています。

 また国内対応だけでなく世界に対する情報発信力の強化も重要な課題です。日本は防災・減災
に対する優れた研究成果や技術を有していますが、これらはより積極的に世界に発信してゆくべきと
考えます。その社会実装にはもちろんその国や地域に適したスパイスでカスタマイズすることが必要で、
これは必ずしも容易ではありませんが、その困難も克服しつつ日本のプレゼンスを世界に示すことが
できるような活動も極めて重要と考えます。
 2020年9月には日本で3度目となる17WCEEが仙台で開催されます。阪神淡路大震災をはじめと
する多くの試練からの復興を経験し、今まさに東日本大震災からの復興を加速しつつあると同時に、
将来の国難級の地震災害をいかに回避するかを議論し対策を講じつつある日本において、最新の
研究成果や減災対策技術・戦略を世界に向けて発信するとともに、地震国が共通に抱える次世代
の課題とその解決を強く意識した議論ができるよう、ホスト学会として最大限に貢献したいと考えます。

 振り返ってみますと学生の頃に地震と建築の関係を学び始めてから30年以上が過ぎ、私自身は
この間、国内外の地震被害の調査や復旧支援活動、防災・減災研究に携わり多くの経験を得て
まいりました。特に日本地震工学会の会員となってからは、より幅広い分野の会員の方々との交流
ができ、これを通じて学んだことは計り知れません。本会のこのような特徴を最大限に活かし、発展
させることの重要性を忘れてはなりません。
 平成から令和に改元され、新たな日本の始動とともに、これからの2年間、会員の皆様とともに
日本地震工学会での活発な議論、その結果の発信と実装に向け、本会の目的である地震災害の軽減と
社会の発展に、より一層寄与してゆきたいと考えます。よろしくご協力、ご支援のほどお願いいたします。

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