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会長あいさつ

日本地震工学会 山中浩明会長(就任:2025年5月21日)の挨拶

2025年5月21日に開催されました第13回社員総会において,高田毅士前会長の後を引き継いで新会長に就任いたしました。これから2年間、会員の皆様と共に日本地震工学会を一層発展させるために努力していく所存です。何卒、よろしくお願い申し上げます。
日本地震工学会は、2001年に設立されました、まだ新しいといえる学会です。その設立当初から、伝統のある地震防災関連の学会の枠を超えた横断的な議論の場を提供し、地震災害の軽減に寄与することを大きな目的のひとつとして発展してきました。設立当時、私自身も地震学と耐震工学の境界の中堅研究者としてその後に広がる地震工学分野の新しい未来を思い浮かべ、日本地震工学会に大いなる期待を持ちました。それから20年以上が過ぎ、地震および地震防災に関係する分野から多くの皆様が本学会の活動・運営に参加し、大会、日本地震工学シンポジム、世界地震工学会議などの重要な行事を主催し、成功裡裏に実施してきました。こうした活動を通じて、それぞれの会員の皆様も主とする学会内にはない多分野交流の幅を拡張していただけたと思います。今後も引き続き本学会の分野横断的な役割を盤石なものにするための活動を継続していきます。
日本地震工学会の主目的のひとつに、地震防災のための国際貢献があります。我が国の地震工学分野の研究者、技術者は、開発途上国の地震防災に長年寄与しています。また、そうした国からの留学生や研修生も多く受け入れ、人材育成にも貢献してきました。とくに、東南アジアおよび西太平洋地域の開発途上国からの期待は大きく、今後もさらなる協力が必要とされています。防災技術に基づく国際的な技術支援や防災教育は、我が国が最も得意とする国際貢献であり、防災技術とそれを支える人材資源が我が国の科学技術外交の重要なカードになると考えられます。本学会では、高田前会長や清野元会長を始めとした歴代の会長のリーダーシップによって、海外の関連学会との交流も盛んになってきています。今後も国際的な地震工学分野の交流活性化のために具体的な協働や交流事業を企画、実施していく段階へと発展させて、我が国の地震工学、ひいては日本のプレゼンスの向上に努めます。

第19代会長 山中浩明

国際貢献と同じく日本の社会への貢献も本学会の重要な使命です。本学会には、関連各学会と共同して理学と工学と含む幅広い連携を通じた社会貢献が求められています。大規模な地震災害はもとより、被害の少ない地震についての情報も本学会から発信し、日本を代表する地震災害の情報発信拠点となるように活動を継続していくことが大事です。さらに、研究者、技術者だけでなく、市民に向けてのわかりやすい情報発信も行っていく必要があると考えます。

日本地震工学会は、来年度に設立から四半世紀を迎えようとしています。設立時から学会運営の改善は常に行われていますが、最近、様々な問題が顕在化しております。2023年10月には、将来構想委員会より「日本地震工学会の将来に向けた提案」と題した報告書が提出され、本学会の現状の課題や問題点の整理とその対応案が示されています。本学会だけではありませんが、会員数の減少は避けて通れない問題です。この問題は、学会の多くの活動に影響を及ぼします。とくに、本学会の経済状況への影響は大きく、その対応は喫緊の課題となっており、待ったなしの改革が本学会の運営には求められています。上記の報告書を参考にしつつ、将来の学会規模に応じて発展させる活動と縮小させる活動をしっかりと分けて、理事の皆様と一緒になってメリハリのきいた学会運営をしていく所存です。

今後も地震防災に関する多様な分野のシニア、中堅、若手の研究者、技術者、さらには学生が世代と分野を超えて活発に議論できる場を日本地震工学会が提供し続けるために、次の四半世紀に向けた日本地震工学会の進むべき持続可能な学会運営を始める2年間とすべく努力いたします。よろしくご協力、ご支援をお願いいたします。

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