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会長あいさつ

日本地震工学会 福和伸夫会長(任期:2017年5月19日~2019年5月31日)の挨拶

 第5回社員総会において日本地震工学会会長に選出されました。これから2年間、
本会の発展のため精一杯励みますのでどうぞご協力を宜しくお願い申し上げます。
会長就任にあたって一言ご挨拶申し上げます。
 21世紀の始まりとともに設立された日本地震工学会は、本年で満16才となり、まさに青年期を迎えました。青山博之先生以来の歴代の会長や執行部の方々のご努力により、公益社団法人として、学会活動も充実してきました。現在の会員数は、名誉会員29名、正会員1,116名、学生会員89名、法人会員107と、数の上では多くは増えていませんが、6つの研究委員会の活動や、論文集・会誌などの発刊、News Letter・メールニュースでの情報発信など、様々な企画が活発に行われています。
 今後も、毎年の年次大会に加え、2018年日本地震工学シンポジウムや、目黒公郎先生を始め前執行部のご尽力により開催が決定した2020年世界地震工学会議などが予定されています。さらに、2021年には学会設立20年、2023年には関東地震から100年と、区切りの年を迎えます。これからの2年間、まずは、日本地震工学シンポジウムと世界地震工学会議が恙なく開催されるよう、関係の皆様と共に十分な準備を進めていきたいと思っています。合わせて、区切りの年を念頭に、本会の将来像も考えていきたいと思います。

 会長就任に当たって、改めて、本会の定款や、歴代会長の挨拶文、過去の提言などを、拝読しました。本会の目的は、定款第3条に明快に記されており、「地震工学および地震防災に関する学術・技術・教育の進歩発展をはかり、地震災害の軽減に貢献する事業を行い、もって社会の発展に寄与する。」とあります。すなわち、新たな研究成果を生み出すことだけに留まらず、研究成果を具体的な技術に還元すると共に技術者を育成し、研究成果を災害被害の軽減に結びつけ、社会の持続的発展に寄与すると解釈できます。

 また、川島一彦先生が会長のときにまとめられた「地震被害の軽減と復興に向けた提言 -東日本大震災を受けて-」(2012年5月)では、①安全と必要コストの周知を、②情報化社会の発展を地震防災の実践にも、③ハードとソフトの防災技術の融合、④アウトリーチ等社会への情報還元活動を積極的に、の4つの決意表明をしています。さらに、地震工学の専門家への提言として、①慣習に囚われない想像と発信、②社会システム全体としての安全性を見る、③情報発信は先ず安全認識の違いを理解する、④工学の本質を踏まえ国民に向けて安全に関わる説明や情報発信を行う、の4点を掲げています。すなわち、従来の地震工学研究の枠にとらわれず、多様な研究・技術を融合し、俯瞰的かつ具体的に、社会と共に災害被害の軽減を実現する、と読めます。この提言の一部は、本会会員も貢献しているSIP「レジリエントな防災・減災機能の強化」で具体化されつつあります。

 新会長としての責務は、定款にある目的を果たすために、上記の決意・提言を具体の実践に移すことにあると思っています。そのために、「Think globally, act locally.(大局着眼小局着手)」の態度で、「全体最適」「連携」「地域」「実装」「未来」をキーワードに、学会運営を進めて行きたいと思っています。

 社会全体としての被害軽減のためには、全体最適と部分最適の同時実現が必要です。そのためには、本会を構成する建築、土木、地盤、地震、機械の分野間連携を深め、さらに社会科学分野などとの連携を進めることで、総合力をつけてい く必要があります。また、「予測」「予防」「対応」の研究成果を被害軽減に繋げるために、予測研究を危険回避ための適正な土地利用計画に、予防研究を抵抗力向上のための耐震化推進に、対応研究を被害波及最小化と早期回復の実践へと結びつける必要があります。そのためには、三者のバランスに配慮しつつ、研究成果を具体的技術や制度設計に還元し、さらに社会の実践へと繋げる仕組み作りが必要です。そこで、まず、分野を超えて議論すべき共通課題を設定し、会員が情報交換できる場を作ることから始めたいと考えています。

 また、国難とも言える事態が予測されている南海トラフ地震を対象に、その抜本的な被害軽減を実践課題として位置づけたいと思います。予想される被災地域ごとに地域特性に応じた被害軽減策を立案することを目指して、南海トラフ地震対策を進めている産学官の担い手と、予想被災地域の地震工学研究者が集う場を作り、各地の現状と将来像を見つめつつ、推進すべき研究課題の抽出と今後の防災戦略作りなどに着手したいと考えています。この場作りが、本会の地域活動の活性化につながることを祈っています。

 これから2年間、地震災害を未然に防ぎ、明るい日本の未来を拓くため、「あ・た・ま(明るく・楽しく・前向きに)」を大切に、皆様と共に頑張っていきたいと思います。

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